懸念される水質管理の現場

 
1、水環境問題の最近の状況

 水質汚濁防止法(水濁法)が施行されて
40年。 日本国内の工場排水に係る
害問題は過去のことという油断があったのではないでしょうか?
 

近年、公共用水域における水質事故が急増しており、たとえば全国1級河川における
水質事故は10年間で約3倍に増加しています。

IMG-3.jpg  一方では、ここ数年、企業による悪質な違反事例が多数摘発されて、新聞紙上を騒が
せましたことは記憶に新しいことと思います。

この度(平成225月)の水質汚濁防止法の改正もそのことに端を発しています。

 不適正事案2.JPG

2、水質管理の現場が危ない!

日本の企業はここ十数年も、ISO14,001を導入するなど、積極的に環境問題に取り
組んできたはずです。とても環境問題を軽視してきたとは思えません。それなのに、こ
れはどうしたことなのでしょう?
原因はいろいろ言われていますが、日本の工場の排水処理を管理する現場の状況
が、すっかり変わってきてしまっていることが、見落されていた気がします。データを捏
造した、改ざんした、というのは確かに悪質ですが、そうせざるを得なかった状況が生ま
れていて、それを十分認識していなかったために起きている事件のようにも思います。


  数十年前、日本の工場は自社から汚水を出さないよう、いっせいに排水処理設備を
導入しました。そして多くの社員に公害防止管理者の資格を取らせ、管理職も率先して
公害防止の任に当たっていました。当時、排水処理設備を設置しているほどの工場に
は、必ず排水処理の専任者がいました。その人たちはまさに排水処理のプロでした。指
導に当たる役所の人たちも彼等を信頼していました。

  今はどうでしょう。公害防止の管理の有資格者の多くは第一線を退かれています。   
かってのように排水処理の専任の管理者はどこの工場にも、おられなくなりました。
られても多くは他の業務との兼務者です。
工場現場で「俺は排水処理のプロ」と自任しておられる方にお目にかかることはほとん
どなくなりました。


IMG_0003.JPG   排水処理に関する問題が起きた時、社内の身近には知識、経験が豊富な人はおら
ず、排水処理設備を請負ったメーカに相談するにも、設置したのは数十年前、排水の
状況も当
時とは変わっていて、気軽には相談しにくい。それよりもそのような設備メー
カもすっかり減ってしまったし、技術者も世代交代しており、人員も大幅に縮小されて
います。メーカを当てにするのも少々無理な状況です。

     マネージメントシステムは精緻になったが、現場は手薄になっているという
ことは否めない事実のようです。
  厳しい日本の製造業の状況を考えれば、すべての部門で合理化が進むのはやむを
ないことで、環境管理部門だけが例外というわけには行かなかったでしょう。ただ、
ここ数年に水質汚濁の違反事例が続出した(日本を代表する大企業でさえ)要因の
1
つには、そのような背景があったことを見逃せません。

 環境部門の担当者にとってはもう一つ大きく変わってきている事情がありま
す。それは非常に守備範囲が広くなっているということです。かっては排水と大
気くらいだったのが、今は騒音、臭気、廃棄物、土壌汚染、地球温暖化、地域環
境にまで守備範囲が広がっています。関連する法規も膨大になっています。1つ
の技術に特化して知識、技倆を磨くことが困難な状況にあることも事実だと思い
ます。


3、大きな災いを未然に防止するために

 ですが、公害防止は社会との約束事です。それを守れないことは重大なコンプライア
ンス違反
と受け止められ、会社が法的、社会的制裁に直面することになりかねません。

 改めて、公害防止の管理体制を強化される必要があるのかもしれません。改めて環
境部門の人的強化をされる必要があるのかもしれません。 しかし、単純に昔には戻れ
ないのではないでしょうか。

 一つの対案として「貴工場に排水処理のプロのアドバイザーを雇われてはいかがです
か」
というのがエムズの提案であります。ちょうど、どちらの工場でも嘱託医と契約して
社員の健康管理に留意されているように。

何か問題が起きたら「しっかり対応しろ」と命じられるのは当然ですが、今は、それだ
けでは不十分な状況が、どちらの工場様にも内在している言う認識も持っていただく
ことが、大きな災いを未然に防ぐための出発点
になるように思います。

                                               以 上

水質管理の現場は悩んでいる」 「排水処理現場・技術支援サービス」 「排水処理設備
の維持管理業務
」もご覧ください。

 

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