難分解性CODの問題
焼却施設から発生するばいじん(以下飛灰)は廃棄物処理法(1991年10
月改正)により特別管理一般廃棄物に指定されており、定められた5つの方
法(溶融固化、焼成、セメント固化、薬剤処理、酸その他の溶媒による安定
化)のいずれかによる中間処理をした上でなら管理型の処分場に処分するこ
とができるように定められた。
これらの中間処理方式の中で全体の約4割を占めているのが薬剤処理で
あり、特に有機キレート剤による処理が主流となっている。有機キレート剤に
よる処理が選ばれるのは、その処理の安定性と経済性からであろう。
重金属を固定化する際、重金属を確実に固定化するには若干過剰のキ
レートを添加するのは当然の処置かと思われる。しかしこの過剰の有機系キ
レート剤が浸出水に溶けだしてくる。
これは大部分が生物分解困難な難分解性CODとなる。そのため生物処理
後も生物的に未分解のCODが大量に残ることになり、後段の凝集沈殿や活
性炭吸着への負荷となる。
これらのCODのある部分は凝集沈殿や活性炭吸着で除去可能であるが、
凝集剤の量が多量に要ったり、活性炭の取替え頻度が極端に高くなったりす
る。それでもこれらの物理化学的方法で基準値まで処理できれば一つの考
え方であるが、多くの場合、物理化学的方法だけでは基準値は満たせない。
一方、難分解性CODは生物的に全く分解しないのかというと、そうでもな
く、馴養菌の殖種などでかなりの部分は分解される。馴養菌の培養には熟練
がいるし、全ての有機性キレート(ジチオカルバンミン酸系)に有効かどうかも
わからないが、この難分解性CODを出来るだけ生物処理で分解しておくこと
がプラント全体の効率を大きく左右する。(経験的には、煮ても焼いても分解
できないCODは活性炭によく吸着するという傾向もあるので。)
参考文献:「キレート処理飛灰が埋立管理に与える影響(その3)、第23回廃棄物資源循環学会研究発表会論文集、福岡大学大学院工学研究科、樋口壮太郎他
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